Superendroller 3/4 Interview

R0011126

2014年に俳優であり、脚本家・演出家でもある濱田真和が立ち上げたコミュニティSuperendroller
はじめは濱田が一人でスタートしたSuperendrollerも、2016年の今では4人になって様々な活動をはじめている。
いつだったか、濱田がメンバーの事を、「自分以外の3人は天才肌だ」と話してくれたことがあった。
作品やSuperendrollerについて、普段は濱田が語る事も多いが、
7月29日(金)~8月2日(月)にはじめてSuperendrollerの4人のみで上演される舞台「tane & tiny」を前に、
Superendrollerについて、濱田真和について、そして「これから」について、
今回はメンバー3人、いのうえあい光根恭平熊谷弥香に話を聞いてみることになった。

R0011062
[左から、いのうえあい(シンガーソングライター)、熊谷弥香(女優/モデル)、光根恭平(モデル/俳優)]
===============================
「Superendrollerは自由な場=ラクをできるわけではなくて/(熊谷)」

——今回はSuperendrollerについて、筆頭主の濱田さんを抜きに語っていただきたいと思います。まずは、それぞれ異なる活動をする4人がSuperendrollerというひとつのコミュニティになるまでの経緯をおさらいしたいと思います。

R0010888

いのうえあい(以下 いのうえ):もともとSuperendrollerって、真和くんがクリエイティブな活動をいろんな人とやっていくために作ったコミュニティで、かといって大勢の人を集めたいっていうわけでもなく、いい人がいれば一緒に…っていうスタンスだったみたいです。この3人の中で最初に加入したのは私で、『Anytime.Anywhere』のあとです。

熊谷弥香(以下 熊谷):私とあいちゃんは『Anytime.Anywhere』でハジメマシテだったよね。

いのうえ:そうそう。「歌うだけでいいから!」って言われて出ることにしたら、台詞があってビビったけど(笑)。もともと『Anytime.Anywhere』は、真和くんが私のライブで『ここにいないのなら』という曲を聴いて、「いのうえあいがシンガーソングライターとして出演する舞台を作ろう」と思ってくれたらしくて。

熊谷:初めてあいちゃんの声を聴いたとき、真和が言ってた意味がわかったよ。

いのうえ:おおぉ(笑)。あれはすごく刺激になったし、そこで演技をやってみたいと思うこともなく、今までどおり自分は歌うことをやっていきたいっていうことを再確認できました。そのうえで私にできることがあると思ったし、音楽とお芝居っていう表現のかたちは違うけど、通じるものはあるって感じました。

R0010906

——その後、2015年9月に行なわれたSuperendroller名義での初作品『sea , she , see』公演後に光根さんが加入。役者仲間としても濱田さんと一番付き合いの長い熊谷さんが最後に加入して、現在の4人体制になります。

熊谷:ボルト(光根)と初めて会ったのは、『sea , she , see』のときだよね。

光根恭平(以下 光根):そうっすね。自分は、もともと真和さんが出演してる舞台とかは個人的に観に行ってて「これから役者をやっていくなら裏から観る経験も大事だし、手伝ってくれない?」ってことで、『sea , she , see』のスタッフをやることになったんです。だけど、キャストオーディション後に真和さんが「ボルト(光根)に出てほしい」って言ってくれて。正直「出たい」とは思ってたんで、すごい嬉しかったですね。

いのうえ:台本読んだときに、すごくボルト(光根)が浮かぶような役だなと思った!

R0010916

——光根さんと熊谷さんは、Superendroller加入以前もモデルと並行して芝居の経験があったわけですが、これまでやってきたこととSuperendrollerとしてやることに違いを感じることはありますか?

熊谷:私はありますね。今までは人が作ったもので演技の下積みをさせてもらってる感覚でしたけど、Superendrollerの作品は自分たちが主体だから。自由な場=ラクをできるわけではなくて。

光根:自分は、これまでと違いを感じるというより演技の礎はSuperendrollerだと思ってます。これまでにもいくつか芝居をする場はありましたけど、演技に関しては真和さんと弥香さんから学ぶことが多いっす。初めて舞台での芝居がおもしろいと思えたのも『sea , she , see』だったし、スタッフとして舞台裏を知ることで、作品への愛情がすごいものになったんで。

熊谷:私も、真和の脚本・演出作品に出演したり、一緒に芝居する事は今まではあったけど、一から作品をつくっていくっていうのは『sea , she , see』が初めてで、すごく難しい役だったし、オーディションする側に立ったのも初めてだったから、とても思い入れがあります。

R0010896

============================
「真和くんがお父さんで、私がお母さん。弥香ちゃんが長女、ボルトは…赤ちゃん(笑)/(いのうえ)」

——タイミングは違えど、濱田さんとの関わりの中でターニングポイントが訪れているように感じますが、3人から見た濱田真和とはどういう人間ですか?

いのうえ:普段はすっごくチャーミングな人。なのに、仕事に関してマジメすぎるというか。それは大事なことではあると思うけど。

熊谷:うん。もっと自分らしくいればいいのに、演出家っていう肩書きを重く捉えすぎてるなっていう感じはしますね。「ちゃんとしなきゃ」って思い過ぎてるんじゃないかなって。

光根:俺は、ただただ憧れのまなざしっすね。

いのうえ:真逆きた(笑)。もちろん、尊敬する部分もたくさんあるよね。

熊谷:私は付き合いが長いから少し見え方が2人とは違うと思うんですけど、真和とはとにかくケンカするんですよね。なんでも言い合える仲ってことなんですけど、腹割りすぎて粉々になることもある(笑)。

——脚本・演出家としてはどうでしょう?

熊谷:他ではあまり言われないことを言ってくれるっていうのはありますね。たとえば、私は結構身体を動かす演技をするんですけど、真和は「ムダな動きが多いから動かずに表現できるようになるといいね」とか。そう言われて初めて「自分がラクな演技をしてたのかな」って気づきました。今までベテランの演出家さんとも仕事をやってきて、真和の演出の指示にしっくりこなくてムカついたりっていうのはあったりしますけど、勉強になります。

——一緒に作品をつくるとなると、これまでなかったような衝突が生まれることもありますよね。でも、それってすごく必要で大事なことでもあるわけで。

熊谷:そうなんですよね。Superendrollerっていうクリエイションを前提とした関係になったことで、これまで言わなかったようなことをズバズバ言えるようになったことは心地良くて。すごく印象的だったのが『blue , blew , bloom』のキャストを決めるときにすごく悩んでたみたいで、それについて真和が初めて相談してきてくれたんです。そのときに、やっと仲間として頼ってくれるようになったなって思えました。

R0011082 R0011050

——濱田さんがSuperendrollerというものを語るときに、よく「最小で最強のコミュニティは家族だ」っていう言葉を出すんですけど、4人を家族で例えるとどうなります?

いのうえ:真和くんがお父さんで、私がお母さん。弥香ちゃんが長女、ボルト(光根)は…赤ちゃん(笑)。

熊谷/光根:(笑)

いのうえ:私と真和くんは頭で考えるんですけど、この2人は直感で突っ走るタイプで、それが原動力になるときもあって。ただ、Superendro”BAR”(※1)のメニューについて考えるときなんかは、私と弥香ちゃんの意見が一緒になることが多い気がする。
(※1・・・月1程度、不定期でSuperendrollerが渋谷のBAR天竺にて、BARを営業している。)

熊谷:私とあいちゃんは現実的だから、男対女みたいな図式になることもあるよね(笑)。4人の絶妙なバランスで成り立ってるっていうのは、なにかをするごとに、その都度感じてますね。これまで4人揃ってなにかをするっていうことも実はあんまりなくて。『sea , she , see』のときは、あいちゃんがオーストラリアに留学してたし『blue , blew , bloom』では私は裏方だったし。4人で作る作品も次にやる『tane&tiny』がはじめてなんですよね。照明や音響、舞台装飾も自分たちでやるから、作品を作るっていうことへの意識が変わりました。役者って、ほんとラクな立場だなって思っちゃうくらい。いろんな視点から舞台っていうものを見ることができるからすごく面白いんですけど、頭のなかで想像していることを形にするって本当に難しい。

R0011002 R0011004

=======================
「なにかが芽生えたっていうより、いろんな気づきをもらってる/(光根)」

——4人揃って活動する機会が増えたとのことですが、そのひとつに“ふくしまオーガニックコットン”というプロジェクトへの参加がありますね。

熊谷:5月にも4人で福島に行って、畑仕事したり製品の撮影をしたりしてきました。とにかく本当に居心地が良すぎて。「自然っていい!」って思っちゃって、東京に戻ってからも山のほうにいい物件ないかなって探してました(笑)。

いのうえ:ほんと気持ちがいいよね。自然が多くて地元に近い環境だからっていうのもあって、福島に行くたびに私も地元になにか返したいって思える。

光根:このまえ福島に行ったときは、ちょうど熊本でも震災が起きた直後で。地元(福岡)に近いから焦っちゃって、ふさぎこんでしまったんです。でもそのタイミングで福島に行ったことで、やっぱり地元になにかを返したいって改めて思いました。正直俺が福島のためになにかしなくちゃっていう気持ちで“ふくしまオーガニックコットン”に関わってるわけでもないし、現地の人たちも、震災のことにはなにも触れないんですよね。なにかが芽生えたっていうより、いろんな気づきをもらってるっていう感じです。

R0011085

——お話を聞いているとSuperendrollerで新しく“これから”に向かうようになったことで、“これまで”がより明確に見えてきたようですね。

いのうえ:その感覚はすごくあって、それって多分それぞれが持っているものがしっかりあるからこそじゃないかな。自分は自分らしくありたいと思うから、役者のそばにいても自分は歌だって思えるんですよね。より自分っていうものがはっきりとする。

光根:俺は、『sea , she , see』と『blue , blew , bloom』っていう2作品を通して振り返らせてもらったっていう感覚ですね。それプラス福島での活動とかも含めて、自分の内面を掘り起こす機会をもらってます。

いのうえ:今年はね、ボルト元年やもんね(笑)。

熊谷:私はSuperendrollerありきの変化もあるけど、自分はどうなりたいのかって考えたときに好きなものが多すぎて動きづらくなってるんじゃないかって思うようになって。それでまず、身の回りのものを捨ててみたんです。ものを作るための道具とか集めてた紙とか食器とか。そしたらすごくすっきりして、こんなにラクだったんだって。そしたら見えてくるものがたくさんあって、いろんなものに縛られてたのかなって。自分らしくいたいし、自分の悪いところもすきになってあげようって思えるようになりました。芸名もそのタイミングで弥香から、本名の熊谷弥香に変えたんです。Superendrollerのメンバーは私の悪いところもわかってくれてるから、「ここがあるから大丈夫」っていう安心感をより軽やかに前向きに持てるようになりました。

R0011124

——では最後に、個々の活動とSuperendrollerとしての活動、全部ひっくるめて今後の展望を教えてください。

熊谷:もっと、もっとがんばらなきゃって。これからもっと大きな作品に出て、そこで得たものをSuperendrollerに返したいっていう気持ちがありますね。自分が身軽になったぶん、いろんなものを味方につけられるようになったんです。他の現場でSuperendrollerでどんなんことをやってるのかを話すと「おもしろいね」って言ってもらえることもあるので、そこには自信を持っていいんだって思えるようにもなったし。それをもっと大きくしていきたいです。

光根:自分は今年、モデルとしてはパリコレに挑戦しようっていうのを決めてます。一回ちゃんと勝負しようっていうのもあるし、名前を売る手段として。Superendrollerとしての自分はまだすごく甘えてるんで、自分をもっと出せるように。ドカンとやりたいですね。

いのうえ:個々ががんばることがSuperendrollerをより知ってもらうことにつながるんで、自分ががんばれることはストイックにがんばらなくちゃいけないと思ってます。その結果、いのうえあいを通してSuperendrollerを知ってくれる人がいたら、それはすごくうれしいなと思うし。まずは『tane&tiny』で、改めてSuperendrollerっていうものを提示できればいいなと思っています。

【NEXT STAGE】
2016年7月29日(金)~8月2日(日)
Superendroller LIVE+ing #1
『tane & tiny』
@ES gallery 渋谷
http://superendroller.com/?page_id=1572
tane&tiny

【ライター : 野中ミサキ】
某レコードショップ勤務後、雑誌編集者を経て2015年にフリーライター/エディターへ転向。
月刊誌・書籍〜ウェブメディアでの執筆まで幅広く、携わる。FREEならぬFROWの精神で、
おもしろいほうへと漂うように活動中。